急性扁桃炎

口を開けて中を覗くと、喉の両側に丸い膨らみが見えます。それが扁桃腺です。鼻や口から細菌やウイルスが入ると、体を守るための防御反応として扁桃組織が活躍します。その時に扁桃腺が腫れると痛みや発熱を起こします。
対処
扁桃炎の原因が溶血レンサ球菌であった場合は、抗生物質の内服が有効です。 炎症がひどい場合には、点滴加療します。 扁桃炎を年に4回以上繰り返す場合や、扁桃腺が溶血レンサ球菌の巣になっている場合、扁桃炎が原因による皮膚や腎臓の病気を引き起こした場合などが起こったら、扁桃腺を取る手術を行うことがあります。

急性咽喉頭炎

咽頭や喉頭に細菌やウイルスが感染し、起こる病気です。痛みが出てきて、扁桃腺にまで炎症が及ぶと発熱することがあります。
対処
ウイルスが原因の場合は、基本的には対症療法です。喉が痛ければ痛み止め、炎症がひどければ抗炎症剤を内服します。 後は、ならないための予防です。手洗い、うがいが重要で、乾燥しているような季節では、マスクも有効です。

急性喉頭蓋炎

喉の下には、食べたときに食べ物が気管に入らないように、声帯の前に蓋がついています。その蓋が、ウイルスなどの感染のために腫れてしまう病気です。頻繁におこる病気ではありませんが、ここが腫れると大変です。 この蓋は前述のように、声帯の上にあるので、腫れがひどくなると声帯や食道の入り口をふさいでしまい、窒息してしまう危ない病気です。
対処
窒息する危険性のある病気なので、ひどい場合は緊急手術で気管を切開して、気道を確保します。 軽い場合はステロイドなどの点滴をすれば良くなることが多いですが、窒息しないかをモニターで管理する場合が多いです。 通常喉が痛くなる場所とは違い、かなり喉の下の方なので、そこが痛くなったらなるべく早く耳鼻咽喉科に受診して下さい。

声帯ポリープ

風邪などにより、声帯に炎症を起こしている時に、咳や無理に声を使うことで、声帯に血豆が出来て、それがポリープになると考えられています。
対処
小さなポリープは頻回にネブライザーをすることにより、稀に治ることがありますが、ほとんどの場合、手術でポリープを取らなければ、声枯れは治りません。

声帯結節

幼稚園や保育園の保母さんや学校の先生など、頻繁に声を使う方に多いです。 声帯が振動する部分の真ん中に硬い部分ができるため、声帯がうまく振動せずに声がかれます。
対処
手術をして結節を取っても、声を出す仕事をしているとまた再発します。声を使わないようにすれば、徐々に結節はなくなっていき、声枯れは治ります。

ポリープ様声帯

声帯全体がポリープの様にぶよぶよに腫れて声がかれる病気です。 腫れがひどくなると、肺への空気の通り道が狭くなり、窒息してしまうことがあります。 喫煙が主な原因と言われています。
対処
喫煙者の場合は、直ちに禁煙することをお勧めします。声帯の腫れが軽い場合は禁煙するだけでよくなることが多いです。腫れがひどい場合は、手術で声帯を切開して、声帯中の水分を吸い取って腫れた声帯を切り取ります。

喉頭癌

喫煙者の男性に多いです。腫瘍の程度によって治療法が変わります。頸のリンパ節が大きく腫れる場合もあります。
対処
腫瘍が小さい場合は、レーザーで声帯を焼いたり、放射線や抗癌剤で治療します。 腫瘍が大きい場合や、頸のリンパ節が大きい場合は手術になることが多いです。場合によっては、喉頭を取る手術を行うことがあります。その場合は永久気切孔といって、喉に穴を開けて、そこから呼吸をするようになります。

反回神経麻痺

声帯を動かす神経が麻痺して声がかれる病気です。声帯が完全にしまらなくなるので、食事のときに誤嚥しやすく、むせやすくなります。反回神経は脳から出ると頸に沿って下降して胸の上まで伸びてから、喉ぼとけまで上昇します。そのどこに障害が起きても麻痺が起こる可能性があります。例えば甲状腺腫瘍や食道癌、肺癌。他にも風邪から神経の麻痺が起こることもあります。
対処
なんといってもまずは原因を調べることです。腫瘍でなることがあるので、CTなどによる原因検索が重要です。ステロイドやビタミン剤の内服や点滴でよくなる場合もあります。治らない場合は、動かない声帯内にシリコンを注入して声帯の接着面を増やしたりする手術をすることもあります。